登山の基礎知識
登山の種類
一般登山ハイキング:無積雪期において、登攀(とうはん)用具を使用しないで行う通常の山行です。
沢登り:渓流や滝など、わらじや渓流シューズを履き、登山道のかわりに沢を遡行して山頂に立つ登山形態で、日本発祥の登山形態と言われます。沢登りは、自然の美しさと恵みを満喫しながら行うスポーツで、滝、淵、磨かれた岩など、他の登山では出会えないものに接することができますが、岩登り以上に不確定要素が多く、リスクも大きくなります。
岩登り:岩場や岸壁を登攀することです。ロッククライミングには、アルパインクライミングやスポーツクライミング等があります。アルパインクライミングは、いろいろな道具を駆使して登ります。はしご状ようなもの(アブミ)を使って登っていく人工登攀(エイドクライミング)、アイスクライミングもこの中に入り、屋外の自然の岸壁を四季を通じて登攀することです。
純粋な岩だけでなく、ブッシュ・氷・ミックス等様々な要素を含み、総合的な登山技術を必要とします。
フリークライミング:登るための手段として、人工的な手段を使わないクライミングのことです。自分の力のみで岩を登り、自分の体重を支えるのに、他の補助道具を使用せず、最低限の安全性を確保する為の道具のみで登攀します。
雪山:雪山を登ることで、山スキー(アルペンスキー、テレマークスキー)なども入ります。大まかに12月~2月を冬山、3月からを春山、4月以降雪が消えるまでを残雪期といいます。スノーシューを使ったハイキングは,一般の方にも冬山を楽しめます。
山の気温・風速と体感温度
高度が100m増すごとに気温は0.6度ずつ低下り、風速が1m増すごとに体感温度は1度低下します。たとえば標高0m(平地)で30度の気温があっても、標高2000mの山頂では気温は18度になり、山頂で3mの風が吹いていた場合さらに体感温度は3度下がって15度となり気温差は15度にもなります。山頂の気温を考慮して、着ていくものや持って行く衣服を判断することが重要です。
雨による体感気温の低下
体が雨に濡れてしまうと、体熱がどんどん奪われていき体温が低下していきます。凍死は体温が低下(およそ32度以下)して、体が正常に機能しなくなって死ぬことをいいますが、凍死は冬山だけで起こるものではなく、夏山でも気象条件や雨具を持ってないなど、衣服の選択を誤ると凍死などという場合もありますので、服装には注意が必要です。
読図を覚える
登山で使用する地図は、ガイドブックの利用が多いようですが、国土地理院発行の「2万5千分の1」、又は「5万分の1」の地形図や、2万5千分の1の方が地形の変化などの情報量に優れており、コンパスを使って、現在地を図上に落とし、目で見える風景を地形図の記載と照らし合わせるようにすると早く覚えられます。国土地理院の「2万5千分の1」デジタル地図は、ダウンロードして利用することが出来ます。この場合、図上の1cmは、250mで、等高線の線と線の標高差は10m、50mごとに太い線(計曲線)で書かれています。地形図上の破線は、幅が1.5m以下の徒歩道。地形図の北(真北)とコンパスの北(磁北)は異なり、西に偏っています(西偏と言い、地図の下に記入されています)。
別ページの「登山用GPSアプリ」を使うと、スマホの画面で地図やルートを表示できますが、登山用地図やコンパスを使うことは必須です。読図を覚えて、初めて「登山用GPSアプリ」がうまく使えるようになると言っても過言ではないでしょう。
これだけは覚えておきましょう
「登り優先」ですが臨機応変に:他のハイカー・登山者とのすれ違いは「登り優先」の原則を忘れないように!下りの人は視界がきくけど、登りの人は視野が狭くなるため。ですが、状況に応じて登りの人が退避したほうが安全な場合もあるのでそこは臨機応変に!
岩場・クサリ場では、ストックはザックの中へ:岩場・鎖場などは、3点確保を守り体を安定させて登り降りする。ストックを使用したり手に持ったままだと岩に引掛けたり、バランスを崩す等、かえって危険な場合もあります。
落石についての注意:雪渓や岩壁の下、ガレ場では落石に注意、特に雪渓や草付きの落石は音がしないので、雨具やヤッケ着用時は最大の注意を払う事。落石に気付いたら大きな声で「ラクーッ」と周囲に知らせること。
他人を当てにしない:山では基本的に頼れるのは自分だけ。他人も自分と同様疲れています。甘えは禁物ですが、かといって勝手な行動は許されません。グループ登山のような場合は、リーダーに従い協調性を持った行動が要求されます。
山は危険がいっぱい!:今回無事に帰宅できた。しかし次は?
山でのマナー:山のマナーはいろいろな参考本がありますが、要するに「他人のいやがることをしない。他人の楽しさを損わない」につきるようです。
自然を守る
山はゴミ箱ではありません!:ゴミはすべて持ち帰りましょう。「何も捨てないで、何も持ち帰らない」がルールです。
植物の採取の禁止:植物などを採らない、傷つけない。
登山道を外れて歩かない:山を荒らしているのは登山者だとの認識をもち、山やそこにいる動物植物に優しい登山を。